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Start to the Succeed Loop

フレイヤが壊れた。
次に壊れるとしたら、ジーソ。
あたし?あたしは大丈夫。
だって世界が守ってくれるようなもんだもの。
いくらここがあたしの想像力の暴走であったとしても、世界は世界。
世界1つがあたしという人間が正気で、永遠に生きられるようにしているわけだから。
自分が存在するために。
だからあたしのそういう心配は無いわけだけど、
あたしが"どう思うか"。これは別だよね。


継廻の始まり


「こんにちは!また、何かの依頼ですか?」
「お、フレイヤも来たか!」
「そ、魔物退治ー」
その日、それまでは別に何があったわけでもなく。
この日は先にジーソが来ていて、依頼の話をしていたところだった。
「今回はデラコラ洞窟ってとこのガスボムダ。名前のとーりガスだし、バクダンの形してるんだけど、まあ、中ボスクラス」
こいつの初出はピクストの何作目だっけ、割と古参だったような気がする。
「これなら、フレイヤさんも行けるんじゃないかしら」
「ほんとですか!?」
「でも、ガスで爆弾って…危なくないか?」
「でもでも、逆に言えば燃やせば終わりよ。そしたら爆発から身を守るだけ」
フレイヤの事がどうも心配なジーソの質問にも答えたところで、あたしはもらって来た魔法陣の紙を手に、外に出る。
2人もそれに続いた。



「…さっき、燃やせば終わりっつったけど、割とそうはいかないかもしれん」
洞窟についた…はいいんだけど、こいつ、パッと見からして脆い。
これ下手するとガラガラ崩れ落ちちゃうやつですやんやーだー!
「じゃあ結局フレイヤはどうすんだよ」
「うーん…援護!徹底的に援護よろ!特にジーソ!」
「えっと…じゃあ、攻撃を防げばいいですか?」
「うんそれで!ジーソもいいでしょ?」
「ああ…そうだ、しっかり離れてろよ?すぐ投げれるようにな」
というわけで、先頭ジーソ、中間あたしの後ろにフレイヤという、割と通常運転で中に進む。
そしてご対面。寝てる。
「…ふいうちでよろしいと思う?」
「いいだろ。どうする?」
「雷なら安パイかしら」
「あ、でも、導火線には気をつけてくださいね…?」
「んじゃ、何がいいかなあ…ロープでいいか!」
あたしは魔力のロープを出現させる。
「伸び~る伸び~る笛を吹かずに蛇のごとく伸び~るのだ~♪」
「いいから早くしろ!」
「はいはい、っとでーきまーしたー!」
あたしの手から伸びたロープは確実に、締め付けない程度にガスボムダの周りをグルグルと。
コイルほどは引き締まってない巻き方のそれを、左手も添えて両手でギュッと握る。
さて、なんて言おうかなあ…
「目覚まし電撃!ザ•スパーク!!」
あたしの手からロープへ、電撃が走る。
バチバチバチといい感じで電流の流れたガスボムダは目を覚ます。
…声が文字に起こせないのはご愛嬌。
「はいっ、あとよろしく!」
結局、こいつを倒すのにかかった時間は…10分ほどだったかな。



「おふたりー!今日はどこで食う?」
「うわっ、なんだその金の量!?」
実はあんなボロっちい洞窟だったのと、爆発の危険性からしてそこそこのお値段がかかっていたガスボムダ。
めっちゃ儲かった。1500円の金貨…何枚?
少なくとも、あたしの顔ぐらいは量として袋に入っていた。てか入った。
レディ•マミィもよくやったねえ、と言うぐらいの依頼だ。
請ける時も大丈夫かい?なーんて言われたもんだからね。
ちなみに、なんでそんなに難しかったかというと、あいつ、魔防高いんだよ。
炎以外はあんま効かなくて、もちろん物理攻撃も魔力込めないと効かなくて、あっという間に魔力切れを起こす。
でもあたしはそこらへん、あんま気にせずやってきたのでまあ、この通り。
「実はさっきの、めーっちゃお高い依頼でして。外食できるよ!」
「い、いいんですか!?」
「いや、悪かったら言わん…」
「じゃあオレ、バイキング行きたいなあ、肉食いたい!」
「ひ、昼からですか!?」
「じゃ、夜は寿司で?フレイヤは何食いたい?条件に入れて店行けばよろしでしょ」
「え、えっと、じゃあ…デザートがたくさんあったらいいなあ…なんて…」
「よし探す」
と、探した夜のお店だけど、結局行けたのは今んところでも数回でしかなかったりするんだよなあ…
でもそんなことまだ一切知らんあたしは割と全力で店情報を集めたりした。



「はーーー、食った食った!!」
「いやお前あんま食ってねーよ?」
「しょーがないじゃないあたし胃袋ちっせーんだから!」
「夜ご飯までに、少し動いた方がいいかもしれませんね…」
まだ外は明るいわけだけど、腹一杯なあたしらは、とりあえずあたしん家で一休みすることに。
つまりはその帰り途中だったんだけど。
「アリス」
「ん?」
「なんだあれ…」
ジーソに言われて振り向くと、何かがあった。
後ろから、何か真っ黒な空間が迫ってくるのだ。
「ひっ!?」
「確かになんだありゃ…」
「おい、近づいて大丈夫なのか?」
「悪意は感じない。だから、攻撃ではないと思うんだけど…」
あたしは引き返してそれに近づいていく。
怯えるフレイヤと、構えるジーソが続く。
お互いが近づくと、相対的に接近スピードが増すのはなんとなくわかること。
真っ黒なモヤは、あたしらをのみ込んだ。
「なんだ、これ」
何かが、パラパラと周りに舞う。
「あれっ?」
フレイヤも、ジーソもいない。
代わりに、そのパラパラが、いたはずの場所に多くかたまってある。
そしてあたしは、察しが悪くない。
「は!?え!?何これ!?」
notギャグな大パニック。
何の予兆もなく、この世界は崩壊を始めたのだ。
ここは真っ暗な空間じゃなく、この世界が"あった"場所。
たまたま黒く見えるだけで、ただの"無"の空間。
そう考えるのは、決して難しくない。
その空間は、さっきまで向かってた森の方へ、どんどん進んで広がっていく。
あたしのそばにまとまってたパラパラは、もうどこかへ行ってしまった。
「brrrrrr…っと」
あたしはいつも通りの魔力の板にエンジンをかけて発進する。
あまりにも急だったからか、もう何も残ってないからか、なんか変な感じ。
そういえば、人と別れる時って、割とあっけなく終わってしまうよなあ、ってことを思い出した。

もちろん、これは生死ではない話だったんだけど。



あたしが急に落ち着いたのは、あたしの疑問が一瞬で解決してしまったからである。
この世界に来たての時、世界の性質は、世界そのものがあたしに教えてくれた。
も少し一般に言うと、本能的に理解が及んだ、って感じかな。
今回も、世界があたしに教えてくれた。
『消えているのは想造世界じゃなくて、その中の1つの世界』だ、って。
つまりアース、アースみたいな感じ。
想造世界の中の無数の小世界のうちの、あたしが今いる世界だけが消えている。
でもどうやらそれよりは規模が大きくて、日本という想造世界のとある都道府県の中のA市が消えてて、A市の中に今この世界とアースの世界という町が存在していて…
うーん、自分でもわけわかんなくなってくる感じ。
とにかく、たぶんアースも無事じゃないのかなんなのか、見つからんかったのよ!
そんな事を理解したあたしが行き着いたのは、久々な場所。
そう、世界の中心。
でももうもはや、崖ぐらいしか残ってない。
それも小さい。
なんでそんなんなのに世界の中心だってことがわかったのかっていうと、魔力が増大されたから。
世界の中心といえばあたしのチート場所。
やろうと思えば、何でもできそーな場所。
「…なんっもないよね。…ってほどではないか」
もはや他人などいないので声を出すことを一切躊躇わないあたしは、崖の先端に何かがあるのが見えた。
これは、もしや…
「あたしがアースレジェンドぶっ込んだとこか」
それで、あたしは思いついた。

「…これで、戻せばよいのでは?」

そこで使ったのは時空の魔導。
ココロの魔導の代わりに、アースが得意だった魔導。
チート場所であるここなら、あたしだって使える。
その結果が招いたのは、ゲートの出現。
かつてアースレジェンドをぶっ込んだ核は、何かのゲートになっていた。

これは見たことある。アースが使っていた…
「やり直せ、ってことなのね」
なるほどこれがこの世界の生存本能、と思いながらあたしは記念すべき第1回ゲート通過をした。
…この時はそんなこと思ってないよ。2、3回はあるかもしれなかったけどさ。



気配がした。
「…アリス」
「413回目」
今回"も"、結局何も変わらなかった。
細部は違えども、大まかな流れはおんなじ。
「ジーソは毎度毎度、よく逃げるわよねえ~…今回はどこで1人になったの?」
「どこで、って…何でそんな事」
「フレイヤの事がちょっと聞きたいだけ。つらかったら無理に言わなくてもいいよ。あたしそーゆー趣味じゃあ…」
「そういう事を聞いてんじゃねえ!!…アリス、お前は何か知ってんのか!?」
「あのね、

崩壊発見から30分、この世界は終わるの。」

あたしは何度このセリフを言ったんだろうか。
ほぼ毎回、もうこれは毎回言ったろう、という事で言ってる。
すると、大体ジーソは同じ返しをする。

「…どういう事だ」
そしたら、あたしはこのループの説明をする。
そして全消滅の時間が来たら、おそらく何も飲み込めていないジーソを置いてゲートに入っていく。
すると、また最初の、フレイヤがうちに来る前に戻るのだ。
いや、正確にはもっと前、ジーソが来る前かな。
そのあとは、ちょっとずつ、時にはガラッとやる事を変えてみるんだけど、
結局は変わらない。
崩壊が始まる時間や場所もそれぞれだけど、どう足掻いてもジーソ以外は逃げ切る事は出来ない。
おそらく、ジーソは大体、フレイヤと一緒に逃げるか、先に逃がすかしてると思うんだけど、それでもフレイヤは助からないのだ。
そしてこのループの恐ろしいことに、特に何にも考えないでいると、毎回同じ事を言って、毎回同じ事をしているのだ。
それも無意識。つまり、鍵となるのは、いかにこの無意識の行動とは違う事をするか。
ループものといえば違う行動をする事。
それを心がけることになった。

そんなことを2000回近く繰り返していると、その2000回到達の割と直前に、エラーが起きた。
さすがに機械もこんだけ動けば間違うということか、ジーソじゃなくてフレイヤが来た。
1995回目のその時は、あえてガスボムダを爆発させ、洞窟をぶっ壊し、フレイヤとジーソ、両方を連れて来た回だった。



「アリスさん、教えてください。
アリスさんが知っている事、全部!」
そう、フレイヤがあたしに言ってきた1997回目。
エラーは割と深刻なものだったらしい。
なんと、フレイヤはあたしみたいに記憶をそのままに繰り返してしまったそうな。
このために余らしたのか、って感じの長めの時間を使って、フレイヤには話せる事を話した。
最初こそは、フレイヤも張り切っていたんだけど、そのうち、精神的な疲れが見えてきた。
現実と違って二次元ってのはその辺わかりやすく出るもんで、6回目ぐらいになってくると元気が無くなってきて、8回目ぐらいにはクマっぽいのが見えていた。
正直、これは心配していた事で、予想通りではあったんだけど、フレイヤになってからの9回目は、行動バリエーションも兼ねて、フレイヤを休ませた。
一応、ジーソもつけといた。
ふと思ったけど、フレイヤさんの消耗が思ったより激しかったのは、ジーソさんが毎回目の前で消えるのを見てしまったからかもしれない。
ただえさえ、そんなに精神強いわけじゃないだろうに…
そしてその回、フレイヤは来なかった。



10回目、フレイヤは精神崩壊。
何もできなくなってしまったのである。
体は動かないし、表情も動かない。
声も出さないし目の光も無い。
来なかった時には何をしたのかと思ったけれども、可能性としては、もう逃げなかったのかもしれない。
でも、おそらく、この無限地獄から逃れる事…つまり、記憶が無くなることは無いだろうと思った結果がこれだ。見事的中。
しかも厄介なことに、精神崩壊したからといって、気絶したわけじゃない。
つまり、現在進行形で無限地獄のオーバーキル、味わい続けているのだ。
ただそんなことを目の前のジーソに言ったってどうしようもない。



って思ってたら、そのジーソの様子も、2007回目頃から、ちょっと違和感が出始めた。
以前通り、最後にはまたジーソが来るようになったのだが、なんか落ち着いているのだ。
まさかまさかと思っていた2020回目、まさかのカミングアウト。
フレイヤが壊れた2004回目から、フレイヤに起こっていたエラーが、ジーソに引き継がれてしまってたらしい。
握っていた人物を精神崩壊にまで追いやったエラーであるバトンが、見事に受け継がれた。
「ちゃんとここに会いに来てやるよ。それで、2人で考えるんだ。あいつを救う手を」
「それをやって、フレイヤは…」
「オレはならない。こうなった以上な」
どこか何かと素直なジーソのこと、本気なんだろう。
また精神崩壊する前に、記憶を消してしまう方がいいんだろうか、とも思ったけど、それもたぶん一筋縄ではいかない。
そもそも現時点でフレイヤを超えていて、あたしとしてもフレイヤよりは大丈夫だとは思うんだけど…わからない。
だって今までで2000回は繰り返されてもおかしくないことがわかってるんだから。
終わらない限り、何度も何度も前に進まず、同じ時間を繰り返さなければならない。
フレイヤがああなってまでも変わらなかったこの結末を。
フレイヤがあんなんだし、これからはここだけじゃなく、ガッツリ話し合いとかできるのかしら?
でも、もう割とあたしは案を出しきってるのに。
何をやったら明日に進むんだろう。


この"先"の結末は、誰も知らない。











アリスさん視点まで出してしまった…
でもそんなに長くなく、語りがメイン。
独白みたいなもんかもしれない。
しっかし、広がったねえサクシードループ…
でもこれ、たくさんある可能性のうちの1本のルートでしかないんだぜ…?
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第二次絶望大会に便乗した

あたしが目を覚ましたのは、炎の中だった。
もう、周りのものは何がどこにあったのか、何も分からなくなっていて、煙が立ち込める。
同時に、あたしの記憶も煙のせいでよく見えなかった。
しばらくボーッとしていて、気づいたことがある。
それは、あたしの体も、脳も、もう動かないことだった。
向こうに、前に、2人にもらった、バスケットのかけらがあった。
もしかしたら、そうじゃないかもしれないけど、そこまで考える力はあたしには無くて、そしてそれを見て何ができるわけでも無くて。
目を開けているのにもなんだか疲れて、目を閉じる。
すると、声が聞こえてきた。
「フレイヤ!早く!」
「置いていくぞー!」
アリスさんと、ジーソさんが、あたしに向かって手を振っていて、
「全く、しょうがねえなあ」
「それじゃ、いきましょーっと」
2人とも駆け寄ってきて、あたしの手を掴んだ。
体がとても軽くて、気分もすごく楽で。
あたしは2人に引っ張られるがままに同じ方向へ駆け出した。
「「フレイヤ!!!!」」
「待て!!!」
「行っちゃダメ!!!」
今手を引いているはずの2人の声が後ろからして、あたしはふと振り返る。
アリスさんもジーソさんも、笑っているどころか、むしろ…
あたしはふと目を開けた。
あたしは燃えていた。
そして、誰もいなかった。
あたし、独りなんだ。
そこでようやくわかった。この状況の意味する事を。
【あたし、死んじゃうんだ】
そう思うと、感覚の無いはずの胸がギュッと苦しくなる。
あたしは独りだ、独りぼっちで死んでいくんだ、しかも燃えちゃうんだ、この髪の毛みたいに。
そう考えれば考えるほど、何も見えなくなって、聞こえなくなっていって、
もう、涙も流せない。










フレイヤさんを絶望に合わせてみた。
燃えた灰の色だとからかわれ嫌われた
炎が使えるフレイヤさんが炎に焼かれるという。
ちなみに、さらに書こうとしたのが前回更新の
サクシードループの続き。

Take over to Succeed Loop

「なあ…フレイヤ…?」
フレイヤは何も答えない。ただ虚ろな目でどこかを見てるだけだ。
「何が…あったんだよ、なあ!」
フレイヤは何も答えない。ただ虚ろな目から涙が流れた痕があるだけだ。


テイクオーバーループ


「アリス!」
オレはいつもならもっと楽しみな気分で開けるドアを開けた。
「ジーソ、…どうしたのそれ」
アリスはすぐにオレが連れてきたフレイヤに目を留めた。
「オレが見つけた時には、この状態だ。いくら呼んでも、こんな感じで…何か、呪いでも…」
「やっぱり、耐え切れなかったのね」
…は?
「耐え切れ…って」
「んー、ココロの魔導で治し…てもいいけど、根本的な理由には…」
「おい、なんとかならねえのか?」
そう言うと、アリスはうーんと考えたあと、フレイヤを魔導で持ち上げると、
「ちょっと安静にしておく。治療はかけてみるから」
いつものソファに座らせた。
「あんまり刺激…てか、情報を与えないほうがいいわ。ちょっと不安だけど、依頼行こう。これ」
アリスが見せてきた依頼は、デラコラ洞窟のガスボムダの討伐依頼。
「じゃあ、オレがこの家守っとくから、行ってこいよ」
「いやだから、あなたも行くの!」
「は!?フレイヤを置いてか!?」
「だから、安静ってのは、誰もいない空間で、極力なんの情報も与えない事!なんなら目隠し耳栓してもいいぐらいだわ!」
「別に、話しかけたりしなけりゃいいんだろ!?」
「人間だってねえ、気配ってもん感じるもんなのよ。治療魔導的にも、本来は隔離するのが1番なの!セキュリティぐらいはかけてくから!」
フレイヤが精神的にやられているのは確実で、そのスペシャリストであるこいつにそこまで言われちゃあ、オレも何も言えない。
「…わかった」
「ま、でも今日はちょくちょく外出てちょくちょく帰って来ましょう。んで、成果はその時その時だ」
オレとアリスはフレイヤを独り残してこの家を出た。



「ジーソ!そっち行った貫いて!!あと火気厳禁!!」
一瞬フレイムを使おうとしたのを引っ込めて、遅えよと思いながら改めて構える。
オレは巨大な鋭い針のように右手を変形させた。
「アイスニードル!!」
その呪文を纏った針は、感覚は無いものの確かに"ガス"を貫いた。
瞬間、霧のように四散する。
「ふぅー、終わった終わった!やっぱ1人より早いわ!」
「当たり前だろ、1人と2人じゃあ」
「あなた、それにもオリジナルの技名つけてもいいんじゃない?言霊乗っけた方が楽だろうし」
「そうだな…」
オレ達がそう、洞窟の中で話していると、何かがパラパラと落ちて来た。
「しまった、崩れるか!?」
「いや、これは…」
アリスはその先を言わなかった。
でも、別にそれについて聞こうとは思わなかった。
なぜなら、目の前に"何か"が広がっていたからだ。
全てが、どんどん"なくなって"いく。
何か魔導に吸い込まれているわけではない。
ただ、"存在そのもの"、"世界そのもの"が崩れているんだとわかったのは、いつもこいつと一緒にいるからだろうか。
本能的に、「逃げろ」と言われる。
それに従って、オレはその場からすぐに離れ出した。
たった2秒、2秒後に、オレの背後から風を感じた。
それも、大きな音とともにだ。
「うわあっ!?」
いつもより高いあいつの声がよく響いた。
「アリス!!」
オレはブレーキをかけてオレ達をふさいだ岩の前に行く。
腕をハンマーにして、1発叩いてみるけど、さすがに1回じゃあビクともしなかった。
「ジーソ!気にすんじゃない!!早く行け!!」
アリスの声に従うつもりは無く、オレはもう1回ハンマーを打ち付ける。
少し、響いたような気がする。
「ジーソ!!いいから聞け!!逃げろっつってんの!!」
「お前を置いて逃げろ、ってのか!?」
「あなたあたしが何なのか忘れてない!?今は自分の身のが大事でしょ!?自分がのまれちゃ何の意味もねえんだぞ!!」
その叫びで、オレはそうだと気がついた。
こいつの言う通り、まずは自分…いや、それよりも…
「あたしん家にも寄るな!!もっと遠く行け!!仮にもあたしん家なんだから!!」
「本当に大丈夫なんだろうな!?」
「それはあなたが助かってから言えよ!!!」
崩れが大きくなってきたのも感じて、オレはその場をすぐに離れた。
まずは我が身。
そういえば、オレはまだまだ弱いやつなんだっけ。
最近は守ることが多くて、忘れていたのかもしれない。

この時、もしオレが振り返っていたら、もう少し早く知ったかもしれない、と思う。



逃げても逃げても"消失"は追ってくる。
それにとても恐怖を感じるのは、オレがこの世界の住人である事を決定づけている。
ただ、気になったことは、後ろをチラチラと見ても、何もない事だ。
もうとっくに、アリスん家も過ぎたはずなのに。
もし無事なら、なんの障害物もなく見えるはずじゃないか?
と引き返したくなるものの、一度発進してしまった恐怖心は下がってはくれないようで、モヤモヤしながらひたすら前に進む。
すると、もうすぐ森が終わる。
その先には…何も無い!?
そのことに気づいて、急ブレーキをかけるものの、森からは飛び出してしまった。

そこには、丘のような崖と、
「アリス…」
この世界の"想造主"がいた。

「や、やはり戻った…戻ったか」
「戻った、って何だよ…まあな、この通り無事さ。それより、フレイヤは…」
「久々の生存者1人!」
あいつは、残酷な宣告をいとも軽く読み上げた。
「…1人?」
「1人。あー、あたしは除いてね」
「フレイヤはどうした?」
「あ…あー…」
明らかに気まずいというオーラを隠さないあいつに、オレは叫ぶ。
「お前、言ったよな!?自分の家は大丈夫だって、フレイヤは大丈夫だって!!」
「……」
アリスは何も言わない。
「確かにお前は無事である以上、オレの方を先に心配するのはわかる、でももっと優先するべきやつがいただろ!?
あの状態のフレイヤが、何かできたと思うか!?」
「……」
アリスの目がピカピカと光る。話す言葉を探しているようだ。
「そもそも、やっぱりあいつを独りにしたのがダメだったんだ!!何が安静だ!!独りにさえしなければ、ここに連れて来れたかもしれないのに!!」
「…あのね」
アリスが言葉を発した瞬間、お前のターンは終わりだと言われた気がして、急に冷静になる。
「…わかってるさ、そんなこと言われても困る、だなんて…」
オレはさっきまでギリギリに入っていた体の力が抜けていうように感じる。
「それができたら、そうするよな…1人にしたのだって、何も無意味にしたわけじゃねえよな…」
「いや、だからあのね、ジーソ…」
「いいよ、もう怒ってない。ついでに、さっきのも、ただのやつあたりさ」
「そうじゃないの。早く、工程を済まさなきゃ」
「…は?」
抜けていたオレの力が、急に戻ってきた。
「というわけで聞いてね。

崩壊発見から30分、この世界は終わるの」

「…は??」
オレはそれきり、体が動かなくなった。
脱力したんじゃない、固まった。
「つまり…予定、されてた、のか?」
「予定というか、いっつもそーなの。もう2006回目だよ!?戌年だっけ?戌年!」
「そんなんでわかるか!!どういう事だよ!?」
「おっと、待ってました!」
アリスは急にふざけたような態度で手を叩く。
そして、いつもより大きい身振り手振りで話し始める。
「2006…引く3で、2003回目公演をはじめまーす!!」
「はあぁ!?」
「まーずーは、この惨状!!一言で言えば世界の消滅!世界の中で世界が戦争で荒地ー、とか水不足で干からびてボロボロー、とかじゃなくて世界そのものがボロボロになって消えていきまーす!」
オレはふざけた話し方を気にしている暇はなかった。
「ア、アース、みたいな話だな…」
「まあぶっちゃけるとほぼソレ。聞かれる前に言っとくと、原因なんだけどあたしは知らん!さらに言うならきっかけやら何やらも不明!わかるのは発見からのタイムリミットは30分!そして時空の力が通じること!」
「時空の力…?」
「アースが得意なやつね。ほら、アースがもう1人のあたしなら、ましてや想造主ってやつだもの、目覚めても違和感はないんじゃない?…ま、それでも解決法わかんないから絶望的なんだけどねー」
あいつ本人はサラッと言いやがったけど、オレにとってはまさに絶望的な"絶望"という言葉を聞いた。
こんな、"世界"のことがこいつにできなくて、他に誰ができるってんだ!?
「まあでも、何がマシって、想造世界が壊れてるわけじゃないのが幸いよね。それこそアースみたいにさ、想造世界の中の1つの世界が壊れてるって感じでー…ああもう時間だ!」
「時間って、なんだ、その30分ってやつか!?」
「そうね。正確には、その直前」
アリスは、もともとそばにあったモヤに手をかける。
「大丈夫だよ、見捨てる気は無いから。てか、見捨てないためにまたやるんだから」
そう言って、そのモヤ…おそらく、ゲートの中に入って行く。
「おい、アリス!!」
オレは思わず追いかけ…ようとして、

跳ね返された瞬間、意識が途切れた。


気がつくと、オレは森の中にいた。
何をしてたんだっけと思い出して、ついさっきのことを思い出した。
「ここ…どこだ?」
オレが困惑したのは、そこが知らない場所だったからじゃない。むしろその逆だ。
いつもの通る道すぎたからだ。
とりあえずは自分が向いていた方…アリスの家に行くことにした。


「あ、ジーソさんきたー」
アリスは2階から降りてきた。
…特にへんなところは何も見当たらない。
「ちょっと今から依頼行くとこだったんだよ。行かない?」
「…フレイヤは?」
「うん、待とうとは思ったんだけど、ちょっとこれ、時間がね…今回は2人で行こう」
「…来てないのか?」
「うん」
そしてふと、フレイヤがどんな状態だったかと思い出す。
そうだ、迎えに行ってやらないと…!
「オレ、フレイヤ迎えに行ってくる!」
「ちょ、ちょっと待って!!」
何も知らないのか、アリスは引き返すオレを追いかけて来た。
リブリトダクの方へ向かって、オレは速度を上げていく。
「ちょっと、ジーソ!いきなりどうしたのよ!?」
そして、オレはあるところでアリスに掴まれた。
「こ、この先、リブリトダクですけど!?死ぬ気?」
気づけば、リブリトダク周辺の森にまで来ていた。
「なあ、フレイヤ、フレイヤは…!?」
「あなた…もしかして」
そう言ったところで、大地震が森を襲った。(オレ達は浮いていたから影響は無かった)
そして…"アレ"が、リブリトダクの方から迫ってくる。
「リ、リブリトダクが…!?」
「ジーソ、分かれよう!逃げやすいように!!後で合流な!!」
そう言って、今度はすでに浮いていたアリスが先にその場を離れた。
オレも、どうすることもできずに、アリスとは逆の方向に逃げ出した。



「はい、2007回目ようこそー」
「はあ??」
オレが最終的に辿り着いたのは、またあの世界の果てだった。
「やっぱ戻ったのね。代償的なものさすがにデカすぎたけど…えー、でもなー、それじゃあ根本的な解決には…」
「おいアリス、これは…何なんだ?」
そう言うと、アリスは表情を少し明るくした。
「はいはい、つまりね、

崩壊発見から30分、この世界は終わるの」

そして前にも聞いた言葉を、一言一句違わず聞いた。
…アレは、何だったんだ?
「うーん、時間が無いな。とりあえず、この惨状はあたしにもどうしようもできないの。この世界そのものが壊れちゃってね。でも、まあ、無くさせはしないよ。」
「アリス、それって…」
「さーて、次はどうするか…」
アリスはそう言うと、またあのゲートの中に入っていく。
「おい!!」
弾かれることがわかっていたオレは、無駄なことを分かりながらも、その場でそう叫んだだけだった。



また、オレは森の中にいる。
そして、アリスの家に行く。
そこにはフレイヤはいなくて、でかけたり、でかけなかったり、依頼に行ったり、違うところに行ったり、いろいろあったけど、結末は同じだ。
あの世界の果てで、アリスの話を聞いて、また森に戻る。
これを、最初のも合わせて、今回で15回目だ。
オレはアリスの行動に対して、2つ、予想があった。
1つは、世界の想造主としての役割として、その場で世界からの情報に従って行動している、という予想だ。
なんでこんな予想が立てられるか、って言っても、そういう事がアリスといてあったからだ。
世界の仕組みについては、あいつは世界から直接教えてもらっている、らしい。
でもこれに嘘はないと思う。
あいつが魔導も魔物も無い世界から来たのは確実だからだ。
それはあいつを連れて来た本人達が言っている。
あの場で世界から得た情報を、台本を読むように伝える。
時々、自分で台本を読むように喋るあいつなら、やりそうなことだ。
でも、
もう1つは…状況を考えれば1番可能性が高い、
あいつもオレと同じようにループしている、という予想。
これだけ繰り返せば、もう夢だったのかなんて思わない。確実に、オレは同じ時間をずっとぐるぐると回っている。
行動を変えてみても何も変わらない。途中で何をしようと、結局あの結末に辿り着く。
それを覚えているのがオレだけじゃなくて、あいつもだ、という事だ。
一応、その決定的な証拠を叩きつけようと、ここまで大人しくしてきたけど、今回はどうしようか。
…いや、どうせ行き着く先は同じなんだ。
今回は最後に、あいつの言う通りに行動してみよう。



今日は、アリスの言う通り、一緒に依頼へ行って、アリスの言う通り、雷の嵐でアリスの水を分解して、最後にあいつの着火でガスボムダを倒す。
今回は爆発させることにしたらしい。
そして、その爆発とともに、洞窟は崩れだし、あの消失が追ってくる。
別々に逃げようと言われたから、別々に逃げる。
そして、もう見飽きたあの場所へ辿り着く。
「2020回目、今回も変化無し。西暦でいうならオリンピックだっけ」
今回もアリスは何かを軽く記録していた。
この記録は、アリスが自主的に残しているのか、それとも…
「アリス、これはどういうことだ」
「おっ、今回は早いね。えーっとね、つまり、

「崩壊発見から30分、この世界は終わるの」…へ?」

オレはあいつの言葉に声をかぶせた。
「もうそれは聞き飽きた。15回も聞いてんだ」
アリスはそう言ったオレに、一瞬目を見開くもすぐに落ち着いて、
「そう、なんとなくそんな気はしてた」
やっと、今まで聞いたことのなかったような内容を喋った。
「やっぱり、あなたも覚えてたのね」
「まあな。お前がいつからこんなことしてるかは知らねーけど」
「さっき言った通り、2020回目。常人なら気でもおかしくしちゃうんじゃない?正直、15回も、しかも知らないフリ?とかそれもぶっちゃけかなり応えると思ったけど」
「ま、考えてた時間さ。…ん?」
オレはふと気がついた。
アリスが今言った、常任なら、って…
「おい、アリス。お前、そんなにループしてるんだったら、フレイヤの事も知ってるんじゃないか?
少なくとも、オレの知っている限りではフレイヤはずーっとあの状態だ」
オレはあいつの目を凝視する。それに警戒したのかなんなのか、あいつは一瞬目を閉じた。
「じゃあ、一応、今回もフラグとばかりに時間あるし、お話するかな。少し前より量が増えるね」
そしてアリスは長い話をし始めた。



ある日突然、世界が消え始めた事。
1度目はアリス以外の全てが消えた事。
その時に世界から仕組みを知った事。
ここはアリスが旅をしていた時の最終地点…世界の中心だった事。
ここに来たことで時空の魔導が目覚めた事。
それで何回も何回もやり直してる事…そして、
「その間、いっつもこうやって、あなたが来てたのよ。最初と、10回?ほどを除いて。」
アリスの話によると、オレはすでに2000回を超える回数だけここに来ているらしい。
そこまでの記憶はオレにはない。
「そんなに、来てたのか…?」
「ああでも、ほらアレよ。その時はたぶん、あなたも覚えてないから。てか本来それがふつーのはずだしー。それでね、」
「待て、その、10回って、何なんだ?」
聞いた時から気になっていた事を聞いてみた。
それを聞くと、アリスは隠す気もなく動揺して、その場で悩み始めた。
「迷ってんならオレが決める。何かあるなら話せ!」
そう言うと、あいつはため息のように空気を吐き出して、覚悟を決めた様子を見せた。
「…その10回は、フレイヤが来ていた期間よ」
「フレイヤが…!?」
オレの中でその図が浮かぶ。久々に見た、"生きた"フレイヤだった。
「で、その直後があなたの覚えてる期間。たぶん。」
…じゃあ、つまり…?
「待て待て待て!!まさか、お前のせいなのか!?」
オレとしては、「まさか!なんであたしが!?」…みたいな答えが返ってくるのをどこか期待していた。
でも、現実はそうはいかなかった。
「え、う、うーん…いやでも、アレばっかりはどうにも…」
そう言いかけたところで、オレはアリスの腕を掴み上げた。
「おい!!どういうことだ!!」
「どういうこと、って……でも…」
「いいから言えよ!!オレに言えない事なのか!?」
「言えないというか…その…」
オレが畳み掛けると、やっとアリスは観念して、事実を話し始めた。けど、
ある時、この世界がもう何回もループしている事に気付いたフレイヤはなぜか記憶を引き継ぎ続けた…?
「それで…お前が話したのか」
「そう…だけど…」
そう言ったところで、今度は両方の肩を掴み、見上げる。
「お前がっ…!お前が!!なんであんな風にしたんだよ!!
もっと何か…フレイヤにできる事があっただろ!!ココロの魔導師だろ!?」
「…うん、そうね」
少し涙目で怒鳴りつけたオレに対して、アリスは柔らかく、それでいて強めの力で抱きしめた。

「でもそれを、本人が嫌だ、って言うんだもの」
「…そんな事言う、って事は、治せないんだろ?」
「あたし、完全な精神崩壊を治す呪文なんて知らない」
しばらくオレは何も言えないでいると、何か変な感覚がして、アリスを突き飛ばした。
「うわっ!?」
「おっ、お前…!今何しようとした!?」
「何って…何だよ…」
「今…お前……
オレの記憶を消そうとしなかったか?」
すぐに反論してこなかったのを、オレは肯定と受け止めた。
「全部、忘れろ、ってのか!?それでまたお前だけこのループを自覚し続けるって!?ふざけんな!!何を企んでそんな…」
「フレイヤの二の舞だからよ!!」
アリスは立ち上がった。
「フレイヤは、それを拒んで、ほぼ1人で抱えてあんなんなったのよ!?あなたもあんなんなりたいのか!?」
「だったら尚更だ!!今まで気づけなかった、あいつを少しでも楽にさせてやれなかった、オレが忘れるわけにはいかない!!」
お互いに少し息切れをする。でも、普段くっちゃべってるアリスの方が早かった。
「…言ったでしょ、我が身だって。あなたが狂ったら今度は誰が守るの?しかも2人も」
それを言われて、ハッとする。
オレがいなくなったら、今度はこいつは…独りだ。
それに、確かに、オレまでおかしくなったらもう何もできない。
…それでも、
「だからって、忘れちまったら結局何もできねーじゃねーか!…あいつを守ることも、お前の相手も」
「あたしの…?まさか、」
「ちゃんとここに会いに来てやるよ。それで、2人で考えるんだ。あいつを救う手を」
「それをやって、フレイヤは…」
「オレはならない。こうなった以上な」
こうなったら、意地でもこのループを脱出してやる。そして、そうしたら……
「…そのフレイヤは、どこにいるんだ?どこかにいるんだろ?」
そう言うと、アリスは素直には答えなかった。
「じゃあ、もう時間だから、次の時に、あなたが連れておいで。たぶん、今度はあなたの記憶通りのところにいるよ」
「ああ、必ず」
「全く、そこまで言うなら、ホントに正気でいてよね。危なかったら、すぐ手を打つから」
アリスはそう言って、ゲートの中へ入っていく。
瞬間、オレの意識は暗転する。



目を覚ますと、やっぱりオレは森にいて。
そして、前回までのこともちゃんと覚えてる。
「フレイヤ!フレイヤー!!」
聞こえるかどうかもわからないものの、とりあえずオレは呼ぶ。
場所はわかってるもんだから、すぐに見つかった。
「なあ、フレイヤ…」
アリスは、フレイヤは決して意識がないわけじゃない、って言った。
ずっと意識はあって、こんな事になってからのループもずっと記憶している。
今も、この瞬間も、フレイヤはオレと同じように、先に進まない時間を理解しているんだ。
「なんで…なんで…こんなんになるまで言ってくれなかったんだよ……!」
オレは思わず動かないフレイヤに泣きついた。
なんだか、涙が止まらなくなったからだ。
そのまま、膝をついて座り込む。
一応立っていただけだったフレイヤの体も一緒に沈んだ。

「絶対に…絶対に、元に戻してやるからな…!!」
オレはしばらく、その場から動かなかった。







本来はスクショパシャパシャでTwitterに上げる予定だったもの。こんなに長くなったよ!!
Take over=引き継ぐ。ちなみにSucceed=継ぐ。
でも、継ぐ継ぐじゃなくて、サクシードループを1つの名詞として捉えてね!!
一応こうやって続きを書いてみたけど、特に続きを固定する気はなくて、あそこからあり得るルートのうちの1つ、ぐらいの感覚。

「共鳴!ソウルリンク」第1話

突然だが、オレは今、何をしているんだろうか。
「走れ、闇よ!」
禍々しい気を放つ本に向かう小人…もとい精霊。
「ダメだ、あなた1人じゃきついよ!」
目の前に広がるこの信じられない光景。
「…ちょっと、何フリーズしてんの!?」
この一生かけても得ることのできないだろう体験に巻き込まれてしまったのはなぜだっただろうか。


共鳴!ソウルリンク
第1話 「超常現象!?ソウルリンク!」



陣内蒼馬、小学5年。
家は病院で、学校まで徒歩10分。
生活は困ってるわけでも、特段裕福なわけでもない、ごく普通のものだ。
「おーい、蒼馬ー!」
「大河!お前、今日は寝坊しなかったんだな」
「失礼だな…オレがいつ寝坊したって?」
「昨日とか?」

「うわっ、風雅!いつからそこに!?」
「おまえが家を出て2つ目の角を曲がってからすぐだな。よお、蒼馬」
「おはよう、風雅。…あれ、夢次は?」
「あー、大河が寝坊しなかったら最後はあいつじゃね?」
「ま、まあ、オレ達はさっさと教室入っちゃおうぜ!ほらほら、蒼馬も風雅も、脱いだ脱いだ!」
学校に行ったら普通に友達と会って、好きじゃねえけど授業も受けて、他の3人は部活に入ってるからオレは1人で帰る。
「お帰り、蒼馬」
「ただいまー」
「今日は昨日お父さんが買ってきたサブレがあるけど?」
「お、それ食う!手洗ってくるな!」
普通の父さんも母さんもいて、特に何も変わったことなんてない。
何も…

「あ、いた」

サブレを食べた後、とりあえず2階の自分の部屋のドアを開けただけだ。
オレ、何か変なことしたか?

「蒼馬ー?どうかしたの?」
「…いや!トイレ行くの忘れてた!」
仕切り直しだ。仕切り直し。
行こうとも思っていなかったトイレを強引に済ませて、2戦目。
今度はそっとドアを開ける。
…やっぱり、小さい小人が…
「とりゃっ!」
「おわっ!?」
…に、腕をとっ掴まれて部屋の中に倒れこむ。
「だっ…誰だよお前!?なんでオレの部屋に勝手にいるんだよ!?」
「その前に他のツッコミどころないの?」
「ある!!」
「じゃあそっちを先にどーぞ?」
「お前誰だ!?」
「同じやん」
「同じじゃねーよ!オレの部屋にいる理由じゃなくて、その前に言ったことを聞いてんだよ!」
ケラケラ笑うその小人は見慣れない服を着て、何かを抱えながら、時には座布団のようにしながら宙に浮いていた。
「あたしはココロの魔導師!」
「心の魔道士?」
「う、うーん、文字があってない気がする。漢字変換とか、魔導、とか、まあ違う字あるもんね。」
勝手に話を進めるそいつは、どこからか小さいスケッチブックを取り出して、何かを描き始めた。
いや、そんなちっせえの読めねえって。
ただ、その隙にそいつをよく見てみる。
なんとも言えないセンスの配色で、微妙にフリッフリしたスカートに短めのマント。
髪を少しだけ2つ縛った女子だ。
「ほい、これでココロの魔導師!」
「いだっ」

オレが覗き込もうとすると、そのスケッチブックは急に巨大化(とはいっても普通のサイズに)して、角をオレの額に激突させた。
「えっ、何やってんの」
「うるせえな!急にこれが大きくなるから……大きく?」
文字を読み終わった後、ふとそのことに気付いた。
「はああああ!!??」
「ちょっ、何、別に変なこと書いてな…」
「なんであのちっさいスケッチブックが大きくなってんだよ!?」
「じゃああたしのサイズにもツッコまない!?」
「だったらなんでお前は小さいんだよ!?」
「ソウラーだから!!」
「ソウラーってなんだ!?」
「いわゆる精霊!!」
「なんだよ精霊って!!」
「こんなん!!」
…となったところで、オレが疲れて座り込む。
「…はあ、なんだこれ、オレ変なもんでも食ったか…?」
「食ってない食ってなーい」
「なんでお前にわかるんだよ…」
「あなたの記憶にないからよ」
この時のオレは、理解不能なことの連続に疲れ切っていたのか、逆に冷静にそいつの言葉を聞くことができた。
「そうかよ…」
「んで、コレの説明始めていい?」
「勝手にどうぞ」
「アバウトでもちゃんと聞いてよね。
これはソウラーのホテルみたいなもんなの。ソウラーも一応、リンカー達含む人間みたいに暮らしがあるんだけど、普通の家とは別の、ソウラーの家代わりになる部屋」
「ふーん」
「で、なんであたしがこれを持ってきたかって、ソウラー達がドドっとこっちの世界に来ちゃったのよ。いろんな方法で」
「へー」
「主な原因としては、魔導書の暴走があるの。誰が何をやったか知らんが、あっちの世界中の魔導書が暴走し出してね…ちょっと聞いてる?」
「聞いたところでわけわかんねーよ」
「うーん…じゃあ、外出てみましょう」
「外?」
「外。連れてってよね」
そいつは逃がさないと言わんばかりの目つきでそう言った。



「外でもしかしたら魔導書がみっかるかもしれないわ!」
「そういえば…お前、なんて言うの?」
「へ?」
オレとそいつは、道を話しながら歩いてた。
こんな変なやつ、見られて大丈夫なのか?と思ったけど、曰く、なんの心配もいらないらしい。
周りの人には、オレが普通に人と話してるように見えるそうだ。
「え、だから、ココロの魔導師」
「そうじゃなくて、名前」
「……」
「無いとか言わないよな?」
「…ココロの魔導師じゃダメなの?」
「そんな長ったらしいの、呼びづらいっつの。」
「えー、でもあたしはココロの魔導師だからなー確実にー」
頑なに『ココロの魔導師』としか言わないそいつに、オレはしびれを切らした。
「じゃあお前はココロ!これでいいだろ」
「おっ?いいねえ、あたしそうするかな!」
そいつ…改めココロは、持って来た何かの上にドスンと座った。
…浮いてるけど。
「よーし、じゃあ改めまして、魔導書探しまーす」
「図書館か?」
「あー、それもアリね。どっかに擬態で潜んでるかも!」
「つか何、魔導書、って魔法なの?」
「まあ、魔法っちゃ魔法。こっちの世界には無いものだよね」
「ねーよそんなもん。あったら楽だろうな」
「楽よ~、確実に楽よ~…でも、強弱はあるんだよね」
「強弱?」
「そう。魔法ったって、何でもできるとかじゃなくて、やっぱり人によって強いのとか弱いのとか…ほら、あんな図!!」
ココロが急に指差した先には、いつもの公園。
…で、おかしな事が起こっていた。
「あれが…魔導書なのか?」
「シェイ!!」
オレの問いには答えず、ココロが叫ぶ。
輝く銀髪に黒いローブと鎧と大きなマント。
その声に気づいた…シェイは、オレ達の方を向いた。
「…ココロの魔導師、なぜ人間が…まあいい、あれがアンだ」
「え、アンが捕まったの!?」
「こっちに来てからすぐだ」

開かれた本の上に、クリスタルのようなものが浮いている。
よーく見ると…人?が入っている。
「ほら!これが魔導書の暴走の1つよ!こうやって、ソウラーを閉じ込めて、その魔力で暴れ出すの!幸いまだその前みたいだけど…」
「ぼ、暴走って…どんなのだ?」
「うーん、周りの破壊とか?人体被害とか?」
じょ、冗談じゃねえ…!
オレは震える足で少しずつ後ずさる。
「待って逃げんな!!」
「いや逃げんな、って、逃げるに決まってんだろ!?人体被害って!」
「待ってよ、むしろあなたは逃げる方が危険なの!あなたが戦うのよ!!」
「た、戦うって…」
「ソウルリンク。ソウラーと魂を1つにするの!」
「はあああ!!??」
「来るぞ!」
オレ達が騒いでいる間にも、その魔導書は何かしてたらしく、シェイが喝を入れる。
そして、何やら文字が出て来たと思ったら…
「走れ、闇よ!」
オレ達めがけて来た弾をシェイは相殺した。
ただ、相当な力だったのか、息が上がっている。
「ダメだ、あなた1人じゃキツいよ!ほら、早くしないと!…ちょっと、何フリーズしてんの!?」
ココロのその声でハッと我に帰る。
何が何だかわからないけど、ここで死にたくはない。
「わかった、そのソウルなんとかやらをやってやるよ!どうするんだ!?」
「そ、そうねえ、えっと…あれ、あなたの名前、あたし聞いてなくない?」
「陣内蒼馬!」
「オーケー、ならシェイ!この蒼馬はリンカーなの!ソウルリンクできるわ!!」
「…そいつがリンカー、だと?」
リンカーってなんだ?と聞きたかったけど、今はそんな場合じゃない。
シェイはココロの言葉に反応して、オレのところまできた。
「本当にこいつに素質があるのか?」
「じゃないと連れてこないっつの!…えーっと、それをやる気で、ソウルリンク!って言うの。できるしょ?」
「言った後どうするんだよ!?」
「それはあと!まずはリンクして!じゃないとあなた、生身だから死ぬわよ!?」
「わ、わかったよ!…じゃあ、よろしく」
オレは自分の手のひらに乗るぐらい小さなパートナーに声をかけた。
「ああ」
シェイは短く答えた。
息を思いっきり吸う。
「「ソウルリンク!!」」

瞬間、目の前の景色が変わる。
闇、とでも呼べばいいだろうか。
真っ暗な空間の中で、何かがオレの中に入ってくる感覚。
これは…
「できた!ソウルリンク、次世代の暗者だわ!!」
そのココロの声が聞こえた時には、もうあの空間はなく、変わったことといえば…オレの容姿だ。
「な、なんだこれ…!?」
「リンカーであるあなたが、ソウラーであるシェイとリンクした姿、つまりソウルリンクは成功したのよ!」
全体的に黒っぽい服装。ファンタジーみたいなマントがなびいている。
そう、つまりシェイみたいな…
「おい、オレはこれからどうすればいいんだ!?」
「力の使い方は本人に聞いてー」
「本人って…」
【出せ】
頭の中でシェイの声が響いた。
「は、はあ!?何を!?」
「シェイ!ちゃんと詳細言わないとわかんねーぞ!?」
【剣だ。闇の力でできた剣を出せ】
「闇の力の剣…?出すって…」
そんな方法、わかんねーよ!…と思ってたら、オレの右手に力が集まって、その闇の剣が現れた。
「ま、どのリンクであろうと、大事なのは本人がそうしようと"思う"ことだから、方法とかはあんま気にしなくていいと思うけどー。
それよりシェイ!蒼馬は闇の素質があるわ!相性いいみたいだから、たぶんいきなり強いのいってもイケる!!」
【なら、決めるぞ。斬ってろ。】
「き、斬るって、この本をか!?」
「だからシェイ!ちゃんと細かく言いなさいってば!!」
【…一撃で決める。それまで魔導書を斬ってろ。隙をつく】
「よし、わかった。はあああっ!!」
…と、斬りかかった時点で、オレは気づいた。
オレ、剣とか振ったことねえんだけど…
でも、そんな心配はいらなかった。

ザシュッ、ザシュッ、ガキィンッ!

オレの剣は正確に魔導書を捉え、攻撃を的確に当てていた。
ただ、狙っているのは本というよりクリスタルで、ヒビが入る様子もない。
近くに行ったことで、クリスタルの中がよく見えた。
青っぽい服を着て、長い髪を横の高めの位置で縛っている、マントをつけた女子だ。
その目は閉じている。
「お、おい、シェイ!これいつまで続ければいいんだ!?」
【ヒビを入れろ。傷を負うことは無い】
「ヒビを入れる!?入るのか!?」
【入る。その時に食らわせるぞ。それまで何も考えるな。斬れ】
仕方なく、そのシェイの言葉に従ってひたすら剣を入れていく。
魔導書が出す何かは、オレに当たる前に闇に弾かれているようだった。
それから、ピシッと、音がした。
【唱えろ!】
「な、何をだ!?」
オレはその場で戸惑ったけど、スッと、その、おそらく呪文というものが頭に入ってきて、次の瞬間には唱えていた。
「【レヴィダード!!」】

オレの左手のひらから放たれたそれは、魔導書を包み込んだ。
そして、パリィンッという音がして、一瞬目眩を覚えると、闇が晴れた時には、シェイが閉じ込められていた精霊を受け止めていた。
「シェイ!蒼馬!アンも大丈夫そうね」
ココロが全て終わったタイミングを見計らってか、オレ達のところに飛んできた。
「ふう、…で、このようにソウルリンクは、力を存分に増大させるの。ソウラーだけじゃあキツいことでも、リンカーとリンクすればほらこの通り!」
「…しろ」
「ああ、早くしろってね」
シェイがココロを急かすと、ココロは助けた精霊…アンに向かって何かをし始めた。
「あたしはね、ソウルリンクはちょっとできないんだけど、こういう事はできるんだよね。」
ココロの力がアンに吸い込まれると、アンは目を覚ました。
「あれ…ぼく…」
「気づいたか」
「えっ、あ、シェイ!?そうだ、きみは大丈夫?」
「しろ。」
「何を?」
「自分の心配だ。」
「シェイが言いたいのは、俺の心配より自分の心配をしろ、って事でしょ~?
さて、これからお世話になるリンカーだよ」
「お、おい待てココロ!これからお世話になるって、どういう事だ…?」
「その通りの意味よ。ほら」
「きみがリンカーだね!ぼくはアン!それと…」
「呼べ」
「あ、そっか。ルゥくん!」
「クルー!」
アンが呼ぶと、変な小さな動物みたいなのと、杖が現れた。
「ぼくの相棒、というのかな。ルービルクルっていうんだ。合わせてよろしく!」
「部屋は持ってきたよー。ほらこの通り」
「ほんとだ、じゃあ早速入ってみようか!」
「クル!」
そう言うと、アンとルービルクルはココロがずっと持っていた丸い分厚い板のようなものに吸い込まれていった。
「入るぞ」
「はいはーい」
続いて、シェイも入っていく。
それを確認したココロは、オレにそれをさしだして…
「じゃ、これ、どっかに置いて」
「どっかにって…オレがか!?」
「うん。だって、これから戦うのに、すぐそばにいないと困るでしょ?これ、あたしも使うから」
「ま、まだやんのかよ!?」
「悪いけど、リンカーなんてそうそういるもんじゃないのよ。あ、でも一度見つかれば集まる、っていうから、やっぱあなたのところにいるのが安パイよね」

「ふっ、ふざけんなあああああああ!!!」
陣内蒼馬、年は10歳。
こんな歳で、重すぎる何かを課せられてしまった気がする…。



次回予告
「うわあ~、人間の世界ってこんな感じなんだね!」
「見慣れんな」
「おいお前ら!何勝手にくつろいでんだよ!?」
「ま、精霊にとっちゃあ珍しいものばかりでしょーよ」
「答えになってねえ…
次回、輝け!煙突劇場!
って、煙突劇場?」
「世の中何が起こるかわからないわねえ…」

知らない知らない知らないよっ!

作ってみたけど歌詞聞き取れんと思うので
上げます。











世の中にはいろんなものがあふれてる
でもね、でもね
全部知らない
知らないことたくさんあるのはダメなこと?
でもね、でもね
そうはいかない


恋だとか愛だとか
興味は無いし
血の色も死の色も
むしろいらない


恋愛事情ドロドロ事情
知らない知らない知らないよ
トチ狂った脳歪む関係
知らない知らない知らないよ
悲しい記憶痛い記憶も
知らない知らない知らないよ
人を殺した罪悪感も
知らない知らない知らないよ


思春期興味深々反抗期?
ほらねほらね
なる気ないよ
人のために社会のためにどうしたい?
ほらねほらね
テンプレ通り

最低限まじめには
やっているけど
お生憎そこまでは
いい子じゃないんだ


現代っ子のイマドキ事情
知らない知らない知らないよ
未来について考えましょう?
知らない知らない知らないよ
他の人と違う世界だから
知らない知らない知らないよ
いつか見る汚い世界だって
知らない知らない知らないよ



新しい命には
汚い事
夢みてた好奇心
幸か不幸か
人はみないつか知る
興奮と快感
そういうふうにできていた
知りたくないよ

大丈夫

異性に感じるはずの意識
知らない知らない知らないよ
恋への憧れ恋願望
知らない知らない知らないよ
身近な入り口入る欲
知らない知らない知らないよ
不快ばかりの需要供給
知らない知らない知らないよ

ここまで自分貫ける理由?
知らない知らない知らないよ
いつまでこう貫けられるか
知らない知らない知らないよ

必ず迎える死の感覚
知らない知らない知らないよ
なんでこんな態度でいれるか?
知らない知らない知らないよ

『ココロ』が宿った理由ーーー?

知らないよっ!
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